ドレッドヘア・縮毛を愛する世界~黒人差別の舞台は今~渡米する方必見~Black hair discrimination!

辞めろの手ぶりをする女性

はじめに

あなたは黒人と聞くと、どのような人を想像しますか?
ハリウッド俳優、スポーツ選手、音楽など色んな分野で活躍されている黒人ですが、昔は奴隷扱いされた悲惨な歴史を持つ人種です。

黒人のアーティストやスポーツ選手のドレッドヘアを見て、「ビジュアル系・ファッション」程度に思っておられる日本人が多く見受けられます。

黒人の髪型の本質的な部分は、日本ではあまり多く語られないですし知らないのも当然かもしれません。

実は黒人にとっての髪は「ただの髪」でなく人種を形成する重要な一部だという事実を私たち日本人は広く知らなければなりません。

今も差別されがちな黒人の方ですが、今回は特別タイムリーでショッキングな差別の実態を皆さんと共有したいと思います。

それは現在でも世界の主要な国で黒人の髪型による差別がされていて、就業の機会や教育の機会が不当に奪われている事実です

彼らは差別を避けるため、無理やりストレートにして白人文化に溶け込んだり、甘んじて差別的境遇を受け入れてきました。

ですがドレッドヘアを始めとする編み込まれる独特のスタイルは、きついねじれと繊細かつ乾燥する彼らの髪をまとめあげ、保護するための重要なスタイルであって、さらに人種をかたどる象徴・黒人特有の文化なのです。

以前、TVタレントの「浜ちゃん」が顔を黒塗りして黒人のまねをして世界から批判されたことがありました。
ですが日本人の多くの人はなぜ批判されるのかが分かっていませんでした。

この記事を最後まで読み進めることで、ドレッドヘアや黒人の真似をするタレントの浅薄さについて、意識と知識をアップデートして頂き浜ちゃん」が何故そこまで批判されたかを、肌感覚で分かっていただけます。

これはあなたが海外に行くとき、とても重要な感覚になってきます。

"Black hair discrimination(黒人差別)についての認識を改めて知っていただき、黒人のヘアスタイルの意味・理由・歴史と差別の実態も学んでいきましょう。

目次

黒人の髪の毛の特徴

黒人の髪はとても細く繊細で乾燥しやすく傷みやすく縮毛という、とてつもなく扱いづらい髪質です。

そしてナチュラルのままだといわゆるボンバーヘッドになってしまいます。
これらの理由から黒人の人たちは髪が守られケアもしやすい《ドレッド》などのヘアスタイルにしてきました。

髪型はきつく編み込むドレッドヘア・ブレイズヘア・コーンロウと分類はありますがここでは一括りに《ドレッドヘア》と認識して頂いて大丈夫です。

髪質は12種類に分類されます。(下図参照)
この中でも4A〜4Cのキンキーヘアは特に髪質がとても細く乾燥して繊細なので毎日の保湿と保護が重要になります。

ヘアー カタログ

*黒人たちの髪型(例)

*コーンロウ:三つ編みを地肌に沿わせます。

コーンロウ
出典:ホットペッパービューティー

*ドレッドヘアは髪の毛どうしが不規則に絡みあい収縮し、ロープのような束状になったヘアスタイルのこと

ドレッドヘアー
ドレッドヘア

*ブレイズヘアは三つ編みをそのままたらします。

ブレイズヘア
出典:ホットペッパービューティー

黒人の方の髪はほぼ100%縮毛です。黒人でストレートの方はいません。いればほぼ100%縮毛矯正もしくは付け毛(エクステ)です。黒人ストレートで有名人だとミッシェル・オバマ元大統領夫人や政治家カマラ・ハリス、アーティストではビヨンセやリアーナなどがストレートヘアです。

ストレートヘアにするのに軽く3時間以上かかります。日本では2万円ほどかかります。髪はとても痛んでしまい、一度やってしまうと元には戻せません。

アジア系や白人との間の子供でも黒人特有の遺伝の特徴が必ず出ます。黒人の遺伝子は優性遺伝子なのでほぼ間違いなく黒人の特徴を強く受けつぎます。黒人と白人のハーフに白人が生まれる確率は100万分の1だそうです。100万分の1の確率! 白人と黒人の間に生まれた赤ちゃんが…!?

縮毛に対する差別

多くの黒人女性はサラサラヘアに憧れて一度はストレートにするそうです。生まれ持っての縮毛が嫌でずっと縮毛矯正をされている方も多いそうです。
一度すると、生えるたびに追加追加で矯正をしないといけません。

ですが近年黒人女性たちの間で「自然なアフロヘアを愛するべき」「ストレートヘアだけが良い髪でない」という価値観の方が増えてきています。

自分たちの特性を生かした従来のヘアスタイルに回帰しているのです。そんな黒人の人たちが黒人らしく生きようとすれば、社会は影を潜めていた差別意識を現します。

陰に潜み増え続けるドレッドヘアに対する差別事件簿

⑴ 2018年12月 レスリング審判が黒人選手に髪を切るよう指示

アメリカのニュージャージー州の高校レスリング大会の試合直前、審判がドレッドヘアの黒人選手に「髪を切らないと試合放棄とみなす」と選手にせまりました。

高校3年生のアンドリュー選手とチームスタッフは抗議はするも仕方なく指示に従いその場でバッサバッサと髪を切り落として試合に挑みました。

レスリングでは、長髪は危ないこともあるという点において「長髪の場合はセーフティ・キャップを被れば良い」というルールを設けています。

審判が知らないわけが無いのにセーフティ・キャップの使用を提案しなかったのが謎ですが、この審判はノーコメントを貫いています。
その後の調査により、この審判は州高校体育協会から2年間の活動停止処分になりました。

レスリング審判が試合直前に黒人選手に髪を切るよう指示

⑵ 2020年1月22日髪形が学校規則に違反、髪を切らないと卒業できない

テキサス州のバーバーズ・ヒル高校がドレッドヘアの長さを理由に黒人の生徒デアンドレ・アーノルド18歳に対して停学処分を科し、切らないと学校に通えず卒業もできないと警告しました。

学校側の不平等な校則に家族ともに抗議をしました。

デアンドレ・アーノルド君の抗議行動は全国ニュースになりトーク番組(徹子の部屋っぽい)にも呼ばれハリウッド俳優や映画監督の支持をもらい、黒人の髪の性質を分かりやすく説いた短編アニメーションを作ることになりました。

可愛い女の子とそのお父さんがとても扱いにくいキンキーヘアーをまとめるための戦いを楽しく描いた作品です。

オスカー賞を受賞した短編アニメ映画、ヘアーラブ

その後、彼は訴訟を起こしテキサス州の裁判所は校則を違法と認め、バーバーズ・ヒル高校は規則を改定するに至りました。

ですが本人のデアンドレ・アーノルド君は別の学校に転校して4年生を修了し卒業しました。

デアンドレ・アーノルド君 が停学処分を受けた後、裁判所は髪の毛の方針が差別的であると裁定しました

⑶ 2021年4月19日ソフトボール試合中 審判がドレッドヘアを切れと要求

ノースカロライナ州高校2年のニコール・パイレス選手は試合途中、三つ編みに付いてるビーズが規則違反だとしてドレッドヘアを切れと要求されました。

ニコール選手は、シャツの中に髪を入れようとしましたが、それもダメと言われ、チームメートにその場で髪を切ってもらって出場を続けたのです

審判はヘアピンやヘアクリップ以外、バンダナやヘアビーズの使用は認められていないと主張しています。

ニコール選手は「恥ずかしい思いでした。私だけでなく家族も傷つきました。」と無念さを露わにしました。

地元の関係各機関は「我々はこのルールは文化面で偏見を抱いている」と非難、規則が改正されるべきとの意見を述べました。

ソフトボールの試合中に髪を切ることを余儀なくされた黒人の米国の高校生

⑷ 2021.7.6(火) 東京オリンピックは人種差別の大会なのか?

ハフポスト日本版 BBCニュース等
アフロやドレッドヘアなど黒人に多いヘアスタイルにあわせてデザインされた水泳帽の使用が、東京オリンピックでは申請当初認められませんでした。

FINA(国際水泳連盟)は「国際大会でこのような水泳帽子を使ったことはなく、必要としていない」と却下していました。

しかし世間から批判を受けて国際水泳連盟は7月2日、「すべての水泳選手が適切な競技用水泳着にアクセスできるようにする」と述べ、ソウルキャップの申請却下を見直すことを発表しました

つい先日の話です。今回はかろうじて判断は覆りましたが、国際競技大会オリンピックはどれにおいても一切差別がない世界大会であって欲しものです。

アフロ髪に適した水泳帽、オリンピックで認めず?国際水泳連盟

最近の調査によると、英国の黒人成人の3分の2近くが髪の差別に直面しています

イギリスでも昔からの白人至上主義が根強く残っており、こちらではなんと未だに髪型差別を禁止する法律の制定すらされていない状況です。

黒人の子供の二人に一人が学校で差別を経験し、大人の四人に一人は職場など社会で差別を経験しているそうです。
学校は髪の差別について何ができますか?

《 その他の事例 》

*マンハッタンのウェンディーズでレジ係をしていた女性は、マネジャーからヘアエクステンションを切るよう言われ仕事を辞めました。

彼女いわく「サラサラのロングヘアの女性には「髪が長すぎる」なんて誰も言わない。私と違う人種の女性は一切髪を切るよう求めらない」と言いました。

主なものを上げましたが、これ以外にも現在進行形で就職差別や就学機会排除が当たり前のように行われていて、事例はまだまだあります。

面接先で髪を切れと指示されたり、そもそも就職できない、昇進の機会は圧倒的に少ない、学校も入れない、懲罰を科される、など日常的に差別は行われています。

困った黒人女性

黒人差別・髪型差別の解決への道

髪型差別撤廃の新しい法律が提案され少しづつですが解決に向かっています。これはクラウン(CROWN)法と呼ばれていて(自然な頭髪を尊重する開かれた世界をつくる)の意味にを表します。

英語でCreating a Respectful and Open World for Natural Hair となります。
髪は人種と結びついており人種的、民族的、文化的アイデンティティーと密接に関係している」を保護する内容です。

これは髪の質やスタイルを理由に嫌がらせや脅迫、処罰を受けたり、降格・解雇させられたりすると人々は、法的措置を取れるようになっています。

2019年7月カリフォルニア州とニューヨーク州は「髪による差別を禁止する法律(クラウン法)」を導入しました。この動きを始めに2021年7月現在13の州がクラウン法の法律を可決して法案成立されています。

高額な罰金などの罰則もあり黒人の髪型差別禁止の大きな動きといえます。ですがこれ以前にも髪型差別禁止の動きは起こっています。

2015年にアメリカ海兵隊、2017年に陸軍はそれぞれドレッドヘアを解禁しています。2021年には女性兵士の髪型はより緩やかな規則に変更したり、制限ある中ですがピアスを許可したりしています。
アメリカの軍隊はとても革新的です。あっぱれ!

NFL(アメフト)では2021年シーズンの各試合の前に、黒人国歌「一人残らず声をあげ そして歌おう」を演奏すると発表しています。

髪型に留まらない人種差別全般に対する反対表明です。MLBやNBAも黒人の地位向上に多額の寄付をしており、これら追い風もあります。

スポーツの世界では黒人の貢献度も大きく円満な関係が構築されていることが伺えます。

NFLは、2021年のすべての試合の前に「ブラック国歌」を演奏します

2022年3月18日 CROWN Act クラウン法は連邦下院を可決!

タイトル通り、今年黒人差別の代表ともいえるクラウン法はとうとう連邦下院議会を可決しました!

これまでも州の法律で個別にしか制定されてこなかった黒人差別の問題事案がようやく全米にわたる法律となる一歩手前まできたのです。

あとは上院で可決されれば、これまで苦渋を嘗めた人たち、思わずも人生を歪められた人々の気持ちも晴れるというもの。

今後のアメリカ連邦議会に注目し、日本より断然差別意識の少ないアメリカを見習って、黒人の差別の歴史を鑑みてアフロやドレッドには私たちの及ばない思いが結われていることを肝に銘じて忌憚なくお付き合いしていきましょう。

おしまいに

今回黒人の髪の本質にふれ、いかに人種を形作るヘアスタイルなのかがご理解いただけたかと思います。黒人の髪質を知らずドレッドヘアなどをファッションだと思って見ると大きな間違いです。

今でもほとんどの日本語でのネットの書き込みはそのような情報ばかりです。

ですが、ここまで読み進めたあなたならTVタレント「浜ちゃん」の黒人の物まねが批判される感覚を分かっていただけたでしょう。(黒人の文化や歴史を知っていれば軽々しく物まねは出来ないはず

日本のメディアは度々世界から避難されていて「故意でない人種差別」「日本人は人種やジェンダー差別についてもっと学ぶべきだ」と世界から怒られています。

髪型差別は子供から大人まで社会から排除され、教育や就労の機会を奪います。たった一度の差別でもその人の人生を大きく捻じ曲げる可能性があります人が人の人生を不当に犯すことのない社会を願うばかりです。

お話しが長くなり、まとまりがつかなくなったところで……
アリシアキーズの黒人国家「一人残らず声をあげ そして歌おう」を聞いて、この記事の締めくくりとします。

この歌は黒人の皆さんが自由と平等を求める内容の歌です。
アメリカで有名な黒人歌手アリシアキーズさんがアメフトの会場をバックに厳かに歌い上げています。
ぜひ、お聴きください!

「一人残らず声をあげ そして歌おう」

「一人残らず声をあげ そして歌おう」 歌詞

一人残らず声をあげて歌いましょう
自由の大合唱が 天と地を響き揺らす
我らが喜びの声は 空まで昇り
ついに 荒波にも負けぬ轟音となるでしょう

さあ 歌いましょう
暗い過去から学んだ信仰の歌を

さあ 歌いましょう
明るい現在が導く希望の歌を

新しい一日が始まり
朝日に顔を照らしながら
栄光を勝ち取るまでともに行進しましょう
さあ 栄光を勝ち取るまで行進しましょう
さあ 栄光を勝ち取るまで行進しましょう

Lift every voice and sing 』lyrics

Lift every voice and sing
Till earth and heaven ring
Ring with the harmonies of Liberty
Let our rejoicing rise
High as the listening skies

Let it resound loud as the rolling sea.
Sing a song full of the faith that the dark past has taught us
Sing a song full of the hope that the present has brought us

Facing the rising sun of our new day begun

Let us march on till victory is won.
Let us march on till victory is won
Let us march on till victory is won.

にほんブログ村 美容ブログ ビューティーライフへ
にほんブログ村
辞めろの手ぶりをする女性

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
目次